第15回:サーバントこそ、強いリーダーシップを発揮できる
ここまで、様々なサーバントリーダーを紹介してきた。彼らを見ればわかるように、サーバントリーダーは決して受身ではない。彼らは志が高く、達成すべきミッション、明確なビジョンとゴールイメージを持っている。そして「私はこう行くから、ついてきてくれ」とはっきり言う。
しかし、その時に権限を乱用したり服従を強要して人を動かすことはしない。フォロワーの心に響く適切な言葉を使い、フォロワーが納得し、自ら行動を決定するように促すことができるのだ。
また、サーバントリーダーのコミュニケーション・スタイルはフォロワーに対して指示することが中心ではなく、フォロワーの話を傾聴し、理解することが中心である。サーバントリーダーは相手の考えや気持ちを理解し共感することができるし、相手の精神面や感情面にも注目し、悩みや悲しみを癒すことができる。
サーバントリーダーのモチペーションは、「大きな権力の座につきたい」とか、競争を勝ち抜いて「自分が賞賛されたい」という欲求ではない。「ミッションを実現したい」「他者に奉仕したい」という欲求なのだ。だから、ミッション実現のため働いてくれるフォロワーに尽くそうと思うのは自然なことである。
そもそも、リーダーは「ついて行きたい」と思ってくれるフォロワーがいるから、リーダーとして存在できる。 当たり前だがリーダーと管理者は違う。フォロワーは自分たちのためを思ってくれる人、高い志や使命感のある人についていきたいと思う。決して、権力を振りかざす人、自分のエゴで動いている人について行きたいとは思わない。
情報がない時代、転職が難しい時代であれば、職務権限だけで人を動かすこともできた。しかし、今は違う。自社の情報を隠すことはできないし、他社の情報も容易に知ることができる。転職することも難しくはない。フォロワーは真にリーダーと思える人についていこうとし、そのリーダーの元でミッションの実現に向けて本気で頑張るものだ。 近年の成功企業の多くがサーバントリーダーに率いられているのは、当然のことであろう。
「出会い」2010年10月5日号(経済界倶楽部事務局発行)
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