NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会

第3回:事業を継続できるリーダーの資質とは

先日、ある経済誌で長年活躍されているジャーナリストの方とお話しした。
彼は、四半世紀にわたって数千人の経営者の方と付き合ううちに、どの会社が発展するか、どの会社が存続できるか、
どの会社が短命に終わるか、が自然と分かるようになったらしい。しかも的中率は80%を超えているという。

彼によると、一時的には大変な収益を誇り世間からもてはやされても、長続きせずにやがてダメになっていく企業の経営者にはある共通点がある。それは、経営者自身が自分はすべて知っている、自分が一番優秀であると思って学ぶことをやめてしまうことだ。
そして他人の話を聞こうとしない。こういう経営者が率いる企業はやはり長続きしない。

反対に、発展を続けている企業を率いる経営者の共通点は対照的だ。中でも超一流と呼ばれる経営者の共通点は、
自分には厳しいが人に優しいことだという。人に対して気配りができ、人の話を傾聴する。
自分がすでに大変な成功を収めているにも関わらず、謙虚に他人から学ぼうとする。こういう経営者は社外の人だけでなく、
社内の人の話にもきちんと耳を傾ける。

優れた経営者のもとでは、ナンバー2、ナンバー3の活躍がよく見られる。逆に、短命で終わる会社では、
ナンバー2、ナンバー3の影が薄い。トップがすべてを支配しているからだ。

また、そもそも、会杜を継続させることができる経営者は、会社経営の目的や志が違うという。
自分の会社がまだ中小企業の段階でも「事業を通じて世の中を良くしたい」と考える。そういう志のある会社は今も健在である。
一方、短命に終わる経営者は金儲けばかりを考え過ぎている。

私はこう思う。後者は社員を金儲けの道具として捉え、前者は社員は志を実行してくれる大切な仲間として捉えていると。
志を実現するためには、大切な仲間である社員が活躍できるように、しっかりと彼らの話を聴き、サポートする。
これはサーバントリーダーシップの考え方である。会社を長く繁栄させるためには、サーバントリーダーになることをお勧めしたい。


「出会い」2009年10月5日号(経済界倶楽部事務局発行)     真田茂人

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