NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会

第12回:世界のソニーを創った盛田氏の至言

先日、ソニー創業者である盛田昭夫さんの33年前の貴重な映像を拝見した。社内で新任管理者に向けてリーダーのあり方を説いたものだ。その中で盛田氏はこう語っていた。

「管理職の仕事は、人を使う仕事、人を動かす仕事である。しかし、それを『自分は偉くなった』と勘違いする人がいる。自分が偉くなるということは神様に近付くことである。これは全くもっておかしな話だ。」

「管理職になった途端に自分は遅く出社してよいというのがその一例であるが、人の上に立つ者はむしろ範を示さなくてはいけない。人は肩書に従うのではない。人を有効に導くには魅力ある人間になる必要がある。部下が追い付いていきたいと思う存在になること。それには自分が常に先頭で実行できる人であることだ。そのために最も効果のある方法を教えよう。それは、朝早く出社することである」

盛田氏の言葉は何も管理職に向けてだけではなく、経営者にも響くものがある。「リーダーはネアカであれ、難しい時ほどネアカであれ。それが困難を突き破る方法を見つけることになる」「人を許すことを身に付けるべきである。完全な人間はいない。悪い点から見始めたら、全部が悪く見える。部下を批判し始めたらダメ。人を許し、良い所を見るようにしよう。どんな人にも良い所がある。それを発揮させてあげよう」

また、組織運営についてはこう語っていた。「一人ひとりに参画意識を持たせることが大事。部下が『命令されたからする』と思ってはダメで、部下自身が『これをやらねば』と思うように導く必要がある。そのためにはコンセンサスが大事である。

しかし『皆で決める』のは衆愚であり最悪である。ただし、大事なことは皆が自由に意見を言えることである。そういう機会がなければ、人は『命令されたからする』と考える。実際には、最終的にリーダーはいろいろな意見の中で最良のものを選ぶのだが、この時その案を採用された人もされなかった人も『これは俺の意見だ』と皆が思えるように導くべきである」。

「出会い」2010年7月5日号(経済界倶楽部事務局発行)     真田茂人

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